高気密・高断熱・高換気
暮らしの環境変化に順応する令和の家づくり
今、新型コロナウイルスの影響で私たちの暮らしは大きく変化しています。
外出自粛に伴ったテレワーク等の働き方の影響もあり、今後の住宅においても新しい住まいの
かたちに目を向ける必要があります。
・従来の換気量の基準値は適切なのか?
・空間に適した換気方法の選定
・換気の流れは適切な方向なのか?
・ウイルスを持ち込まない適切な間取り
・外からのアクセスに近い位置の水廻り
・家庭内感染を防ぐ区画割りは可能か?
・テレワーク・スタディ用の専用室
・食事スペースの在り方は適切か?
・宅配BOX等の設置
・非常時のためのスペース
など、それぞれのライフスタイルに合った家づくりをご提案させて頂きます。
家族の中で誰かが感染した場合、家の中は3密状態になりがちで感染拡大のリスクが大きくなります。
それを防ぐためには充分な換気計画と、家の中に陽圧室と陰圧室を作り気流をコントロールして家庭内感染のリスクを減らしましょう!
陽圧(正圧)… 外気よりも室内の気圧が高いこと
陰圧(負圧)… 室内の気圧が外気よりも低いこと
住宅における断熱と気密はとても密接な関係にあり、外からの熱が直接伝わりにくくなります。
そのため効率よく室内を暖めたり涼しくしたりできる為、省エネ効果が大きいのが特徴です。
●断熱
断熱の性能gを測る目安として、外皮平均熱貫流率(UA値)を用います。これは住宅の内部から床、外壁、天井(屋根)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を、外皮全体で平均した値となります。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことになります。簡単にいうと1㎡あたり何wの熱が逃げるのかを表しています。
●どのくらいの数値が基準となるの?
省エネ基準の指標は住んでいる地域によって大きく8地域に区分されています。
省エネ基準の指標は住んでいる地域によって大きく8地域に区分されています。
仙台市は4地域の為、UA値を0.75W/(㎡・K)以下にするとH28省エネ基準に該当します。ZEH基準は0.60W/(㎡・K)以下ですね。
UA値は住宅の間取りや仕様決定後、
① サッシの種類と大きさ
② ガラスの種類
③ 断熱材の種類と厚さ
④ 断熱の方法
により計算で求められます。
性能の高い断熱材を厚く用い、より高性能なサッシを使用することで、UA値は低くなります。
2021年4月からは義務化となり、設計士による説明も必要となるのです。
満帆はUA値0.60を目安に設計します!
●気密
気密性を高めなければ、せっかく断熱性を高めても効果が激減してしまいます。暖かいダウンジャケットを着てもファスナーが全開では寒いのと同じですね。気密性能の指標としてC値㎝2/㎡(相当隙間面積)が用いられます。
高気密住宅に定義はありません。以前はC値1.0以下の住宅を高気密住宅と呼んでいましたが、近年は0.3や0.2を下回る住宅も多くなりました。
ある程度の気密性能が必要な理由として、
① 断熱性能の低下
② 結露の原因
③ 漏水の 原因
④ 換気機能の低下
が上げられます。
弊社施工現場にて気密測定(中間)を行った際の写真
先程の断熱はもとより、気密についても実際の施工は職人の手によるものです。これらの性能上の数値が、しっかりと担保できるよう現場における管理が最も大事なビルダーの務めです。
2003年7月に建築基準法が改正され、24時間換気が義務付けられました。その背景には住宅の高気密・高断熱化に伴い、生活用品や建材に用いられた化学物質、高い温湿度によって発生したカビやダニ、また暖房・給湯器などから放出される一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などが室内を汚染し、それが原因で起こる健康被害「シックハウス症候群」を防止することが目的でした。
24時間換気の導入により、2時間に1回 室内の空気を入れ替える事が義務付けられましたが、夏場せっかく涼しくなった室内の空気を、また冬場は暖かい空気を入れ替えなければなりません。
そのためエネルギー損失を抑える様々な方法が試行錯誤され、現在は大きく3通りの換気方法があり、その中でも色々な形式の換気システムが生まれました。
第1種換気 | 第2種換気 | 第3種換気 | |
仕組み | 機械給気+機械排気 | 機械給気+自然排気 | 自然給気+機械排気 |
特徴 | 給気排気相方に機械換気を備え、家の中に一定の空気の流れを作る方法 | 機械給気により家の中の空気に正圧をかけ自然排気する方法 | 機械排気により空気を排出することによって家の中に負圧をかけ自然給気する方法 |
メリット | ・窓の開閉の影響が低く、機密性の低い住宅も安定的に換気が可能 ・給気口に高性能フィルターを設置し、PM2.5や花粉除去も効果的 ・熱交換型はエネルギー損失も少ない |
・第1種換気よりもコスト面で有利 ・給気口に高性能フィルターを設置し、PM2.5や花粉除去も効果的 ・室内に正圧がかかり、窓の開閉時に外部からの異物が入り難い |
・第1種換気よりもコスト面で有利 |
デメリット | ・導入コストが高い ・ファンやフィルター、熱交換機の定期的なメンテナンスが必要(ランニングコスト) |
・給気と排気の位置によっては、各部屋をしっかり換気できなくなる恐れあり ・病院の手術室やクリーンルームで採用され、一般の住宅ではトイレなどの臭いが逆流する恐れあり |
・機密性が低いと換気口以外の場所から空気やそれ以外の汚染物質が入り込み、適切に換気できない恐れあり |
第1種換気 | |
仕組み | 機械給気+機械排気 |
特徴 | 給気排気相方に機械換気を備え、家の中に一定の空気の流れを作る方法 |
メリット | ・窓の開閉の影響が低く、機密性の低い住宅も安定的に換気が可能 ・給気口に高性能フィルターを設置し、PM2.5や花粉除去も効果的 ・熱交換型はエネルギー損失も少ない |
デメリット | ・導入コストが高い ・ファンやフィルター、熱交換機の定期的なメンテナンスが必要(ランニングコスト) |
第2種換気 | |
仕組み | 機械給気+自然排気 |
特徴 | 機械給気により家の中の空気に正圧をかけ自然排気する方法 |
メリット | ・第1種換気よりもコスト面で有利 ・給気口に高性能フィルターを設置し、PM2.5や花粉除去も効果的 ・室内に正圧がかかり、窓の開閉時に外部からの異物が入り難い |
デメリット | ・給気と排気の位置によっては、各部屋をしっかり換気できなくなる恐れあり ・病院の手術室やクリーンルームで採用され、一般の住宅ではトイレなどの臭いが逆流する恐れあり |
第3種換気 | |
仕組み | 自然給気+機械排気 |
特徴 | 機械排気により空気を排出することによって家の中に負圧をかけ自然給気する方法 |
メリット | ・第1種換気よりもコスト面で有利 |
デメリット | ・機密性が低いと換気口以外の場所から空気やそれ以外の汚染物質が入り込み、適切に換気できない恐れあり |
これらの換気システムには、同時給排気形式・パイプファン形式・ダクト形式などあり、住宅の間取りや断熱気密性能によっては、最も適した換気システムを用い、空気の流れを計画する事が大切です。また換気機械の性能値は最大機能数値の場合が多く、ある程度余裕のある換気計画が必要です。
●耐震性
ご存知ですか?
建築基準法の耐震等級1は、「震度6~7の地震に遭って倒壊しない」と定めてあります。これは倒壊しない間に避難して下さい!というレベルなのです。東日本大震災や阪神淡路大震災、また近年の熊本地震においては、その後の余震によって多くの建物が倒壊したのは周知の事実です。耐震等級3は震度6強の地震がきても修繕できる住宅強度があります。
満帆(MAHO)はの家づくりは、耐震等級3で大地震後も住み続ける住宅性能を確保いたします!
●耐風性
「耐風等級」というと、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、住宅性能表示基準には、暴風力に対する住宅の性能表示があります。どうしても耐震性に目が向いてしまいがちですが、住宅の必要壁量は地震力よりも、風圧力に大きく影響されます。
ではなぜ必要壁量の算定に風圧が関っているか。風のない状態では建物にかかる風圧は内外ともにほぼ一様です。しかし、いざ風が吹くと風上側の壁に作用する風圧と、風下側の壁に作用する風圧の差(風圧力)が生じ、その風圧力に対抗する力を必要壁量に反映させる必要があるのです。
地震力に対抗する壁量=各階床面積×壁係数(地震)
風圧力に対抗する壁量=各階外壁見付け面積×壁係数(風圧)
よって必要壁量は風圧力によって決まる!
日本の新設住宅のうち、木造構造の占める割合は54.9%と意外に少ないのですが、これは集合住宅の多くが鉄骨造や鉄筋コンクリート造の為で、一戸建て住宅に絞るとなんと木造住宅の割合は93%とグッと高くなります。
そんな日本人にとって古くから愛着のある「木の家」は、どのくらい長持ちするのでしょうか?
昔の木造住宅が、築50年から100年以上の古民家に見られるように長寿命だった理由…、それは外の気温と家の中の温度差があまりなかった為です。つまり夏は暑く、冬は寒く、隙間風が入ってくる事により、空気と湿気の入れ替わりが自在であり、家の構造体である木材への負担が軽減、木材の長寿命化へと繋がったのです。
しかし現在は、建材や住宅設備機器の発展とともに、夏は涼しく冬暖かい快適な空間が求められ、住宅の性能は格段に進歩しましたが、建て替え平均年数はなんと30年未満なのです!!
その理由の大半は構造躯体である木材の劣化や腐蝕にありますが、原因となる腐朽菌の発生やアレルギーの原因となるダニなどの繁殖は、木造住宅の性能向上に伴い新たな課題となっている『結露』によって引き起こされているのです。
●結露はなぜおきるのか?
私たちがよく耳にする、湿度〇〇%というのは「相対湿度」のことで、空気中の水蒸気分圧の比を単位(%RH)で表したものです。
相対湿度(%RH)=
ある温度の空気に実際に含まれている水蒸気分圧(Pw)
ある温度の空気に含むことのできる最大水蒸気分圧(Pws)
×100
これでは判りにくいので下図のように表しました。
温度36度 湿度40%
温度24度 湿度80%
空気の温度が高ければ高いほど水蒸気を含む容積が大きくなる。この容積を椅子に例えると、36℃の時は椅子が6個余ってますが、温度が24度まで下がると椅子が減りますね。さらに20度を下回った場合、残り1個の椅子もなくなり、4つ目の椅子も無くなれば水滴は座れなくなります。この座れなくなった水滴が結露です!
相対湿度に対して、「絶対湿度」という表し方があり、空気中に含まれる水蒸気の質量を指し、乾き空気1kgに対する量として、単位「kg/kg」で表します。
絶対湿度(kg/kg)=
水蒸気の質量(X)
1
先程の相対湿度に照らし合わせてみると、絶対湿度は質量なので温度が上がっても下がっても変わりません。なので椅子がなくなる露点温度に達すると結露が発生するのです。
上図は湿り空気線図と言います。ピンクの点は部屋の温度26℃相対湿度60%です。
気温が下がってくるとピンクの点は左へ移動。室温が17℃で露点温度で湿度100%となり、温度差の激しい窓などに水滴が発生。結露となります。
●結露が発生するとどうなるの?
住宅の結露には「表面結露」と「内部結露」があります。
表面結露は、特に温度の下がりやすい窓や壁の角など、また家具の裏側などでおこり、カビ菌の発生を促します。さらにそのカビを好んでダニが発生。ダニの死骸や糞などから、ぜんそくやアレルギーの一因として人体にも害を及ぼします。
カビが好むのは、温度25℃~30℃ 湿度75%以上といわれ、これまでは梅雨時期に多く見られておりましたが、近年の住宅では一年を通してカビが発生する条件が整っています。
また、内部結露は建物の壁内などでおこり、木造住宅においての大敵 腐朽菌の繁殖の原因となります。木材腐朽菌の繁殖条件は、温度20℃~30℃ 湿度85%以上 木材含水率20%以上と言われ、白アリなどの繁殖にも繋がります。
このように結露は、人にも住宅にも悪影響を及ぼす怖い存在なのです。
良い家づくりとは、断熱性・気密性・換気計画・耐震性・耐風性・間取り・デザイン性など、全て綿密に絡めながら最大限の性能を引き出し、住まい手に喜んで頂く事だと思います。